how to love me
同性なのに好きになってしまった。でもどうしても伝えたくて告白した。そしたら奴は、はぁやって言ってにやりと笑った。別に付き合ってやってもゆたさんよと言われたわんは直後有頂天になったけど、もし過去にトラベルできるなら、ちょっと待てってとめてる。しんけんとめたい。それが多分わんぬ“ちょっぴり甘くて、実はだいぶ苦い”悪夢の始まりだった。
……――知念は悪魔かも。わんは絶対利用されている。
「しんけん、かや、」
「ぬーがよ」
知念の部屋への階段をのぼる途中尋ねたら、奴はけだるそうに振り向いた。
「しんけん、するの?」
「するよっていうか、凛クンがしたいってあびたんばぁよ」
「う、ん、やてぃん、親とか、兄弟とか」
「あんまぁは仕事、ちび達は保育所やっし」
付き合い始めて3カ月。わんは知念に恋人らしいことがしたいと言った。
だって恋人らしいことなんて、知念とは全くしてなかった。お互い部活で忙しいから登下校するときにちょっと喋るくらい。もちろん2人きりじゃない。帰り道同じ方向の奴とか数人いる。休み時間は、お互い教室遠いからわざわざ会いに行ったりしないし。メールしたいけどそもそも知念は携帯持ってないからメールできないし……。
唯一付き合ってるっぽい「お昼は一緒に食べる」って約束も、周りから見たらどうだかわからない。大抵パン買ってきて、とか、先に食堂行って金券買ってきて、とかって頼まれる。食事中、知念はもくもくと食べることに集中するので、あ、れ、あんまり構われてなくない?
ていうか、付き合ってからただのパシリになってるっぽくね?と思わずにはいられない。
で、知念に一生のお願いだからと頭を下げた。もう頭下げてお願いする時点で色々間違ってる気がする。けど。そこは、気にしない。
そしたら、知念はわんに、男同士でもセックスできるんばぁよ、とまたあの時と同じようににやりと笑った。セックスと聞いてびびったわんに、じゃぁ相互オナニーで、と知念は珍しく優しさを見せた。いや、優しさかすらわからない。
わんぬ言う恋人らしいことって言ったら、たとえば、デートとか。手を繋ぐとか、……き、キキ、キスとか、……そんなもん。な、なのに、いきなり、生々しいコースに入ってしまいました。
部屋に入ったらすぐに知念は窓を閉めて冷房を入れた。どうすればいいかわからなくて部屋の入り口付近に立っていたら、手首をつかまれて
「ほら、」
と引き寄せられた。……いざとなると緊張する。そりゃぁ、知念が好きで好きでたまらなくて、知念ぬえろい顔を妄想しながら抜いたりもしたけど、でも、いざとなると、やっぱり、ちょっと尻込みする。どきどきしながら知念のベッドにあがった。
「はい、ばんざーい」
言われるがままに万歳のポーズをして、上半身裸になる。汗臭くないだろうかと心配したけど、そんなの気にしないとでもいうふうに、すぐに身体を撫でられた。
「お、わッ、」
「んーつるぺた」
「フラーあ、あ、あたりまえ、」
「そうだけど、なんかネ」
ぐいと押し倒されてべろりと乳首をざらついた舌で舐められる。ぞわりと背筋に寒気が走った。まじだ。まじだ。知念は、有言実行タイプだ。
「んぁ、わわ、くすぐってー」
「色っぽい声でも出してよ、わん勃たないかもよ」
「努力しまうひゃ!ひゃー!」
知念ぬ舌がわんぬ乳首をれろれろ弄る。そっちのくすぐったさに身を捩っていたら突然、あそこを鷲掴みされた!
「凛クンも勃起しようねぇ」
「あ、待って、だめ、」
「だめじゃねーらん」
ジーパンの上から緩く触られた。大事なところを。それだけでドクンと身体が熱くなる。恥ずかしいことにわんはあっという間に勃起した。
知念の長くて細い指が、いとも簡単にわんぬベルトをはずして、ジーパンごとパンツもおろした。ぬくりと性器が立ち上がっているのが見なくてもわかる。
「うあー……ミジンコ」
「うえ」
「勃起してるんにその程度かや」
嫌なものでも見るかのような視線。そして呆れたような口調。ドスリグサリとわんぬガラスぬハートに言葉が刺さる。しんけん容赦ねーらん。スペアのハート下さい。
「どうせ小さいさぁフラー」
「あ、傷ついた?ちびと元気なくなったさぁ」
当たり前だと反論しようとしたところを、知念の手で擦られたらまたわんぬは大きくなった。
「単細胞、しに単純、ミジンコ以下やさぁ」
「わっさんぅ、あっ、」
乳首を舐めたくられて、身体のいたるところにキスもされて、ちんぽも擦られて、ようやく呼吸とか、声が怪しくなった。こっちとしては死にたいくらい恥ずかしい、恥ずかしいけど、知念がまたにやにや笑ってる。面白がってる可能性も捨てきれないけど、嬉しそうってことにして、羞恥心には目をつむる。
「あー凛クンえろい、えろい」
「やっ、あっひっ、あふっ」
「ねぇほら、わんぬちんぽも、こんなになったさぁ」
「ッあ」
そう知念が言った瞬間、先走りでぬるっとしたけど、確かに熱いモノがぶつかった。いつの間にかジーパンを少し下ろしていた知念のちんぽがわんのとぶつかったんだ。
「ちねんもえろいー」
「ねぇ凛クン、一緒に擦ろうか」
「え、」
知念の熱くて太いのがわんのと一緒に握りこまれる。くちゅくちゅといやらしい音をたてながら知念は2本同時に扱いた。冷房を入れてるはずなのに、あつい。心臓の鼓動が速くなる。どうしようどうしよう!
「ッあ、ン、はぁ」
「凛クン、凛クン」
何度もわんぬ名前を呼ぶから何かと思って眼をあわせたら、割と知念ぬ眼がマジだった。無意味に呼んだのかも。わんがのぼりつめるように、知念ものぼりつめている。わかんないけど、そんな気がした。
「あ、あ、知念、やだ、や、や、」
「ン、」
「イ、イく、やばい、まじ出る」
「……出せば」
ティッシュかタオルか何か下さい、汚しちゃう、と思う前に、いいところを擦られて、わんは身体をびくびくさせながら知念ぬ手の中で果てた。
「凛クンぬイき顔……卑猥ッ」
「ッ、はぁっ、はぁっ、ン、ア」
果てた後の余韻にひたっていたら、イってもないのにお腹の上にまた熱いものを感じた。知念が果てた。しにエロい顔をして。わんが妄想していたのより、ずっとエロい顔だった。
「か、かけられた」
色々考えすぎてそれしか言えなかった。
「ぶっかけー」
エロい顔の知念が、にやりと笑って、わんぬ耳をべろりと舐めた。
それからわったーはもう1回抜いた。男同士で2人きりで卑猥な行為をする背徳感に陶酔してた、ってのもあるけど、わんが思ってた以上に気持ちよくなれたから、今度は自分から2人分握りこんでこすった。もちろん散々へたくそと罵られたけど。最終的に一緒にイったから知念も気持ち良かったのかもしれない。
「喉かわいたでしょ?水持ってくるさぁ」
「にふぇーど」
知念の足音が遠ざかる。換気のために窓をあけると、熱気をのせた風がすっと入ってきた。水をわざわざ買いに行くのか、自転車に乗った知念の姿がすーっと遠ざかっていく。
なんだか清々しかった。まさか恋人らしいことが、こんなえっちなことだとは思わなかったし、本当にするのかもわからなかったけど、意外にあっさりと一線を越えたことに、満足感もあった。やればできんじゃん、みたいな?恥ずかしい、恥ずかしいけど、気持ちよかったし、何より、相手が知念でわん幸せ!手を繋ぐとかキスとか、そういう順序的なもの一気に飛び越えちゃったけど!
「……はい凛くん」
息切れしながら帰ってきた知念は、片手に500mlの水のペットボトルと、もう片方の手にはどこでつんできたのか小ぶりのひまわりを持っていた。
「……え?ひまわり……?」
「凛クン、ひまわりの花言葉知ってるかや?」
「知らない」
「にせ金」
突然花言葉とか何ロマンチックなこと言うんだと思ったら、そうでもなかった。やっぱり知念だ。トリビアを言いたかっただけか。がっかり、とわざとらしく肩を落としてみせる。
「も、あるけど、」
「うん」
「愛慕とか、熱愛て意味もあるの、覚えとけー」
またにやりと笑う知念に、わんは何を言おうか迷った。
ねぇ、もしかして知念って、わんが想像してるより、わんぬくとぅ好きかや?