セーラー服とコンドーム
静止していても風に靡いたように揺れている黄色い髪、
涙に濡れた大きな瞳、
紺色スカートから伸びる色白の華奢な脚、
そして。
赤スカーフで縛られた細い手首……
「……ねぇ、」
「ん?」
真剣な面持ちでPCに向かっていた知念は、オプションとして掛けていた伊達眼鏡を外して振り返った。
「あ、凛くん!めんそ〜れ〜」
「めんそ〜れ〜じゃなくてっ!そ、それ……!」
「あ、いけねっ」
知念はコツンと頭を小突き、PCの電源を落とす。すると、限りなく凛に似た少女は画面から消えた。
「わっさんわっさん。今日はどうした?テスト勉強かや?」
「な、何ふつーに振る舞ってるんどー!?ちょ、さっきの何?!」
「え?エロゲー」
「エ、エロ……?」
「うん。昨日発売のやつねー、初回限定版は特典としてポスターと抱き枕カバーがついてるの!」
「細かっ!っていうかさっきのキャラ、妙にわんに似て……」
「凛くんに似てるでしょー?わんも気に入ってるんさー」
知念はにこにこしながらそのゲームについてつらつらと語り始めた。凛は居心地悪そうに知念のベッドに腰掛ける。先程の少女がプリントされた抱き枕が布団からはみ出ていた。
「……知念、やーはいつからうんねーる趣味……」
「ん?紀元前から」
「やめて。やーがあびると洒落になんねー」
凛は溜息を吐いて床に散らばった物達を片付け始める。エロゲーの外箱、フィギュア、形がおかしい道具などなど……凛は痛くなったこめかみを思わず押さえた。
「……っていうか、さ、知念」
「ん?」
「わんがいるのに、うんねーる物、するの?」
「……そっか!」
知念は嬉々として凛の手を握る。凛は一瞬ドキリとしたが、すぐにそのときめきは消えてしまった。
「じゃ、凛くん、これ着てみて」
「え、え?」
知念がクローゼットから出してきたのは一見どこにでもありそうなセーラー服。しかし、紺色の短めのスカート、赤いスカーフに独特のエンブレムにはどこか見覚えがあった。
「さ、さっきの……!」
「うん。いつか凛くん着てくれないかなって買っておいたんだー。まさかこんなに早くにその日が来るなんてね」
「変態っ!」
「わん、靴下穿いた方がいいと思うなー」
「人の話を聞けーっ!」
しかし、結局そのセーラー服に腕を通してしまう凛は、一体何の為に男として生まれてきたのか、どうしてこんな事を許してしまう位知念が好きなのか、悩んでしまう。
「やっぱ似合う。かわいー」
「フ、フラー」
「じゃ、しよっか」
「えっ、」
布団の上にゆっくりと押し倒される。知念は机上に置いてあった眼鏡をかけてニヤリと笑った。
「やっ……この格好でかや!?」
「うん」
知念は頷きながら制服をたくし上げ、凛の白い肌を撫でる。
「あッ……」
「ははっ、貧乳ー」
「当たり前やっし!つか、ねーしや!」
「かわいー」
熱い舌が触れ、滑る様に舐め上げる。桃色に色づいた胸の突起を擽られ、凛は小さく声を漏らした。
「ち、ねっ……!」
「凛くん、もう勃ったの?」
意地悪く笑む知念は、持ち上がったスカートをめくってしまう。下着が濡れていた。
「えっちー」
「ん、あっ……」
「おパンツ、下ろすよー」
下着を下ろし、知念は凛のモノを柔らかく握る。上下に擦り、口に含んだ。
「あぅ、やっ……!」
「もうビンビン。こっちも欲しいでしょ?凛くんは」
つぷ、と指を挿入される。凛の腰が反射的に跳ねた。
「あ、あぁ……」
「凛くん、自分で着けてね」
投げられたコンドームを凛は震える手で装着する。
(いっそ、早く貫いて)
そう凛が思った矢先に、質量あるモノが押し入ってきた。
知念のモノだ。
「やっ……あぁ!」
「凛くん、熱い」
「ちねっ……も、あつ、いっ」
脚を持ち上げられ、開かれて抜き差しされる。掴まれた脚から、靴下越しに知念の体温が伝わった。
「あっ、あ、ん、うっ……」
「気持ち悦くなってきた?」
「き、きもちいくなん、かっ、あんっ」
「悦いクセにー」
「フラー」
文句を言いながら凛はしばらく体を震わせ、それから何回か果てた。
液溜めがいっぱいになったら、知念の手の中で。
「凛くんの、あっつあつさー」
「フラー、手で受け止めたりなんかするから……」
「だってー」
知念はべろりと凛の精液を舐め取った。
「フラーっ!」
「いいでしょ?」
「いくねーらんっ」
「あーもう、うっさい」
「知念の、フラー……勝手にセックスするし」
「好きでしょ?凛くんも」
知念は不敵に微笑み、凛に口付ける。
口の中に苦みが広がった。
「……苦い」
「これも愛でしょ?」
「何、それっ!」
嗚呼神様、
愛って何ですか?