総司の人の斬り方は、他の誰よりも美しく鮮やかだ。 後から追いついても残された「仕事」はなく、総司ただ一人だけが突っ立っている。 総司は、屍骸の中心で微笑っていた。 「ねぇ、一君」 そして俺を振り返り、言うのだ。 「……また汚れちゃったなぁ」 返り血も浴びてない、綺麗な姿で言うのだ。 「んっ……」 総司の羽織が、血のついた俺の羽織に重なる。唇が触れ、総司の冷たい体温が伝わった。 「一君……」 総司の冷たい手を俺は握り締め、布団に座る。総司の深緑の目にじっと見つめられた。俺は着物を無造作に脱ぎ捨て、総司を待つ。 「もう慣れっこだね」 くすりと笑う総司。俺の顔に表情は浮かばなかった。 総司は俺を抱き、俺は痛みを堪える。 「んっ……んんぅ」 「……一君」 汗ばむ総司の胸に、顔を埋めた。声を堪えるので、精一杯で。 「いい子だね」 「うるさ、い……」 静かにお互い済ませると、総司は着物を手元に引き寄せた。あっさりとした態度は、いつもと変わらない。 「……どうせ、」 「ん?」 「お前は……」 そこから先は、辛くて言葉が出なかった。総司のことが、嫌いではないからだ。 「……僕たちは体でしか繋がれないからね」 「っ!」 総司は、実に冷たい声音で続けた。 「所詮、お互い性欲を処理するだけの関係……なんだからさ」 それは、現実。 目を背けられない。背けてはいけない。だが、 俺はお前に溺れたのか? 「……それでも、構わん」 お前といれるなら、それでも。 お前と繋がれるなら、それでも。 一君が一途だったらいいな、とかいう妄想。最近暗い話ばっか考えてます… (2011 05 03 時雨) |