俺が限界を超えてまでせがむと、鉄馬はきまって悲しそうな顔をする。



何もかも忘れてしまいたい。
子供の頃の記憶は未だに心の根底に存在していて俺自身どうすることもできない。人格形成にかかわる重大事件だったかもしれないと言えば大げさだけどねぇ。正直他人からすれば大した事無いんだろうけど。
でもそれがあってこそ、今の俺や、俺と鉄馬の関係があるのは確かだった。

「てつま、俺とするのは嫌かい?」
薄暗がりの中、鉄馬はふるふると首を横に振り否定を示す。
「紫苑、」
「なんでそんなこと聞くのかって?そんなの、鉄馬が好きだからに決まってるじゃぁないか」
鉄馬の少し汗ばんだ胸板に唇を寄せると、筋肉質の引き締まった腕が俺の身体にまわされた。戯れついでに、鉄馬の両足の間に自分の足を差し込む。
「俺は、紫苑を壊したくない」
鉄馬の指が俺の髪をくるくると弄ぶのが分かる。子供みたいな戯れが、何よりも愛しさを駆り立てられる。
「俺も紫苑が好きだから」
「うん」
いやというほど、鉄馬野気持ちを知っているのに、言葉を聞いてさえもなんとなく落ち着かない。何度、好きだと言わせたら、俺の気持ちはおさまるんだろうねぇ。自嘲せざるを得ないなぁ、まったく。
「じゃぁ、好きならさぁ、もう一回くらい、ねぇ……?」
「……しえん」
「……ねぇ」
せがむと困ったように目を泳がせたが結局鉄馬は俺の身体に覆いかぶさった。
ただ頭が、感覚が、ぶっ飛ぶくらい没頭したい。
その手段としてセックスを選び、その上鉄馬を巻き込む。俺は、鉄馬が断りきれないのをわかってて利用しているし、鉄馬が苦しむのも承知だ。鉄馬の方もきっと、断れずにせがまれるままに犯す行為を、きっと悔いる。
そうやって、大切な人を困らせて、何を得られるのか、自分でもはっきりわかっていないのに、せがむことしかできない俺は、子供の頃からこれっぽっちも進歩できてない。

……なんて悲しい、共同自虐行為か!










続いてみた鉄キ。もうわけが分からない(爆)
(2010 03 04 jo)
誤字訂正いたしました。
(2010 07 13 jo)