望むものばかりくれる。嗚呼、てつま、てつま。俺はお前から離れられそうにないんだけど、どうしてくれる?責任とって、なんて、言えるものなら言いたいよ。


「笑っちゃうよねぇ、あの時ヒナちゃんが”思い出し笑いってエッチなんだよ”って言ってね、陸が俺の事そんな人じゃないって否定するやり取りがあったんだよ」
「そうか」
「残念なことに俺はエッチどころか、ド淫乱みたいだけどねぇ」
何度か果てた後、俺は鉄馬の口付けを受けながらそんな話をした。果てた後の気だるさが俺の自虐性に拍車をかける。鉄馬に嫌な奴だと思われてしまうかもしれないけど、止まらない時はどうやったって止まらないもの。
「鉄馬、淫乱な俺に、ちょうだい」
鉄馬の首から顎にかけてをべろりと舐めると、鉄馬の体が少し強張った。
口では‘淫乱’と言うけれど、そう開き直らないと俺は生きていけない、と思うからだ。本当は、こんな、鉄馬を複雑な気持ちにさせるとわかってるようなやり方で求めるのは、嫌だ。好きな人を傷つけるような真似しかできない愚かな自分が大嫌いだ。鉄馬はいつだって、俺の傍にいて支えてくれるっていうのに。
「てつま、」
過去も現在も、嫌な自分も、忘れさせてくれる痛み。
愛する鉄馬の、熱いほとぼりが欲しい。
「てつま、好き」
「しえん、」
鉄馬の広くて熱い背中に手を回すと、それに応えるように鉄馬は俺の体をぎゅっと抱き寄せた。
「俺、幸せだよ」
「しえん、好きだ」
「はは、鉄馬に言われるとなんだか照れるねぇ」
「好きだ、」
「じゃぁくれる?」
わざと目を潤ませて見上げた、のに、鉄馬は、確固とした態度で首を横に振る。
「なんで?」
鉄馬を俺につないでおくためにはこれしかないから、頼むから首を縦にふってよ。そんな気持ちを込めてじっと見つめても、鉄馬は揺らぐことなく目を伏せて首を横に振った。
「好きなんだよねぇ?」
「好きだから、」
たどたどしく、躊躇う様に鉄馬は言う。
「俺はしえんを傷つけたくはない」





残酷な優しさ










お前達どこへ行くつもりなんだ……!
書いてる私ですら手に負えない(爆)
(2010 08 07 jo)