「んっ……」
枕越しにくぐもった喘ぎを漏らした教え子の柔らかい髪を梳き上げ、オサムは細い腕に舌を這わせた。
見られるのを恥じらって枕で隠してしまった端正な顔が、今どんな表情をしているのか想像するだけで、オサムの海綿体組織が充血する。
その表情を読み取ろうとそれを取り上げてしまおうとすると、ぎゅっと抱き締めて離さない生徒の体は、もう何もかも知り尽くしていた。いや、
何もかもをオサムの手によって教え込まれた。
「……しらいし」
「………何ですか」
渇いた声。オサムは赤くしこった胸の飾りを指先で弄びながら密やかに囁いてやった。
「今夜は、寝かさへん」
「う、ん……」
くすん、と白石は鼻を啜る。きっと、もううさぎの様に目を真っ赤に腫らしていることだろう。
哀れだが、オサムはそんな彼が好きだ。
自分の色に染め上げたから。
「……なぁ白石」
「ん?」
「……顔、見してくれへんの?」
白石は、ゆっくりと枕の奥で頭を振った。



「……やって、恥ずかしいもん」







もう全てを知り尽くしたのに、
彼は表情を読まれるのを拒む。


















(2010 09 18 時雨)